プロローグ

ある日をきっかけにあっという間に人の家に転がり込みを成功させ、心地よい生活を始めて早1年。

始めから少しは気づいてはいたのかもしれないけれど、ようやく確信についてきているというか、ようやく自分で恐れをきちんと感じ始めたというか、理解した。

 

今日パン屋から出て傘を開くのに手こずってる間に目の前を通り過ぎたチャリの学生っぽい奴がクソババアっぽいババアに向かって「うっせークソババア、黙れ」と言いながら走り去って行って、そのババアがそのまま横断歩道を腰が曲がっているもののスタスタと歩いてる様子を見ていると、理解した。

 

クソババア、傘をさしながら運転に通りすがりざま怒していた。

 

この街は歩道を平気でチャリが走りまくってるからね、わたしも結構危険を感じてる。ありがとうババア。だから注目はながら運転の奴ら。

 

そんな街の安全を守るババアに罵声を浴びせる教育のなっていない街。
そんな街にやって来ていわば脱出不可能になったこれからのわたしの人生。